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自己開示・自己表現の心理

2012.09.07

 フェイスブック、ツイッター、ミクシィなど、いわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と呼ばれる世界が人々の中で広がっています。電車や町中で、一所懸命スマートフォン(スマホ)の画面を見つめる人々の姿は、海外と比較するとやや異常(?)で、日本独特の光景にもなっていますが、そんな人々の多くが画面の中でSNSを行っています。

 

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 実は筆者は、当初SNSに対して興味はありませんでしたが、知らず知らずのうちにSNSの世界を積極的に体験する一人になっていました。

  なぜ、これほどSNS体験者が多いのでしょうか?この疑問に答える興味深い研究発表が、今年の5月に米ハーバード大学からあり、インターネット上でニュー スとなりました。自分の感情や考えを他者に伝える「自己開示」行為によって、脳内で快楽や満足に関わる領域が反応を起こすというのです。人間は通常の発言のうち、30%-40%を「他者に自分の主観的体験を伝える」ために費やしており、SNSとなるとこれが、80%近くになるとのことです。なるほど、元来人間は自分の感情・考えを他者に伝える「自己開示・自己表現」行為が好きなようです。

 さて突然ですが、化粧はどうでしょうか。化粧(特にメーキャップ)はまた言葉こそありませんが、古典的な「自己開示・自己表現」のツールの1つです。化粧は他者が存在して、初めて成立する世界です。もしこの世に自分一人しか存在しなければ、化粧は必要ありません。つまり化粧は、他者に対する明らかな「自己開示・自己表現」行為であり、それによって、一種の快楽や満足感を得る行為といえます。

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 このように考えていくと、人々がSNSを行う理由は、「自己開示・自己表現」が心理的に喜びであるからということです(全ての人にとってSNSを行う理由がそうであるとはいいませんが)。しかし、「自己開示・自己表現」が人にとって喜びであるとするならば、その事実は「化粧品が与える心理学的有用性に関する研究」によって、遥か以前に明らかにされていたのではないでしょうか。

 化粧品を使用する行為に、人の「自信を高める」「積極性を増す」、「振る舞いをエレガントにする」「気持ちのゆとりを増す」などの効果があることは、既に30年以上前の研究で明らかにされていた事実です。人々がSNSを行う行為と、化粧の行為とは、一見全く異なる世界ですが、深層心理面では意外な形でつながっているのかもしれませんね。
 

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 先日、久しぶりに百貨店の化粧品売り場をゆっくりと眺める機会がありました。販売員のアドバイスを聞き、店頭でスキンケアやメーキャップを体験する女性の方々の目がとても輝いていて、良い表情をしていたことが非常に印象的でした。化粧品は女性にとって「自己開示・自己表現」 のツールであり、それが「心の豊かさ」を得るための大切な手段であることを、改めて感じた次第です。

ライフサイエンス総合研究所

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